遊技場空調換気システムに関する数値解析（東北大学）

1．緒言

遊技場における空調換気システムの設計では受動喫煙を防止し、快適な場内環境を整えることが重要である。しかし、従来の空気換気システ ムでは遊技ゾーンに外気口およびエアコンを設置したため、直接気流が当たるドラフト感や温度のムラ、タバコ煙で空気がよどむなど問題が発 生する。本研究では、新型空調換気システムにおける遊技場内、空気流動、温度および汚染物質濃度に関する数値解析を行った。解析条件とし て、外気(OA)、エアコン(AC)、還気(RA)、給気(SA)および排気(EA)を考慮し、還気/給気(RA/SA)の風量が汚染物 質の拡散過程に及ぼす影響を検討した。

2. 解析対象

概略図は遊技場における空調換気システムのを示す。x 軸方向およびz 軸方向の対称性から斜線部分を解析対象とした。寸法は幅1.45 m、高さ4 m、長さ9.4 mであり、グリッドの分割数をx、y、z 方向にそれぞれ36×48×94 とし、空気の流入、流出口の天井付近を細かく分割した。本システムでは、サービスゾーンに外気、エアコンおよび還気を、ゲームゾーンに給気、排気を設置した。

3. 数値解析

基礎方程式に連続の式、気流についてNavier-Stokes方程式を用いた。乱流モデルとして標準k−ε二方程式モデルを、壁境界 には壁関数を採用する。空気の温度はエネルギー方程式により求め、温度変化により密度変化が浮力を通してのみ流体の運動に影響を与えると 考え、ブシネスク近似を適用した。

エアコンの流入、流出する境界面での物質収支および熱負荷を考慮した熱収支を式(1)に示す。そして、式(2)を用いてエアコン吹き出 し口のエンタルピーを算出した。

タバコの副流煙にCOの占める割合が高いため、汚染物質としてCOと仮定し、それの濃度分布を求めた。

4．結果と考察

P2とP5の位置でz = 5.9 m、y = 0.3、1.2、2.3 mにおけるx 軸の垂直速度分布の比較を示す。

通路および汚染物質発生位置におけるz 軸CO濃度分布に対する還気/給気(RA/SA)風量の影響を示す。その結果、CO濃度は発生位置が1 から9 に移動することによって増加する。また、還気/給気(RA/SA)の風量が大きい場合、通路におけるCO濃度が全体的 に低下し、発生位置におけるCO濃度が小さくなる。これは、還気/給気(RA/SA)の風量が増加することにより、給気(SA)から吹き 降ろす気流速度が大きくなるため、タバコ煙が拡散しやすくなるためであると考えられる。

記号･添え字

F: mass flow rate [kg/s], h: enthalpy [kJ/kg], Q: heat flow rate [kW], in: inlet, L: Load, o: outlet